機能性試験

 合成樹脂製食器には耐熱温度を表示する必要があります。JIS S2029(プラスチック製食器類)の7.4に掲げる耐熱性の試験を行います。試験は一般財団法人ボーケン品質評価機構に依頼しました。表示義務としては耐熱温度だけで問題ありませんが合わせて耐冷試験も依頼しました。また食品衛生法試験も依頼します。合成樹脂製の器具又は容器包装は食品衛生法で規制されています。合成樹脂製品は、モノマー(単量体)やポリマー(重合体)を反応させて繋ぎ合わせ、目的に合うように成形されたものです。しかし、全ての化学物質が反応しきれないことがあり、有害な物質が残っていることがあります。そのため、合成樹脂製の器具又は容器包装は食品衛生法で規制されています。

焼印と刻印

 本来であれば、耐熱性試験などを金型製作よりも前に行い金型製作時に耐熱温度などの表記を刻印するのが正攻法であると思いますが、今回は順序が逆転したため出来上がった樹脂成型品に耐熱温度などの情報を刻印します。一番手軽なのはホットスタンプ焼印です。温めた焼印を対象箇所に押し付けることで樹脂に刻印します。以下のような真鍮製の焼印を作り、電子制御のホットスタンプ機に取り付け刻印していきます。

焼印

梱包設計

 量産準備が佳境に入り、あとは梱包設計です。製品を無事に届けるために必要なものです。まず製品は輸送中の衝撃でも損傷しないように外装袋に入れ、必要ならテープなどで固定し、緩衝材などで保護し個装箱に入れます。その他同梱品があるならば同梱します。すべて専用に設計してもいいですが、今回は汎用品を使い梱包設計していきます。


Information Park 製品の個装梱包
https://information-parks.com/packing_engineering1/

個装箱はHEIKOの白無地汎用ボックスの100x100x100mmです。高さが製品と同じですが、製品自体が軽く高さ方向には頑丈であるため上下方向の緩衝材は省きこの汎用ボックスを使用します。しかし個装箱内部で製品が動く可能性があるため横方向にはしっかり固定する必要があります。緩衝材としてコートボール紙を使用して仕切り板を作ります。

コートボール紙(#6-2厚み0.4mm)をカットし組み立て緩衝材にします。コートボール紙のカットは、3DCADソフト「Fusion 360™」のシートメタル機能を利用して3Dモデルで設計し2次元展開図を作成します。その後カッティングマシンで展開図通りにカットします。

メタルシート設計
梱包設計3Dモデル
カット後
緩衝材セット後
人間工学に基づいた最も持ちやすいカップ